よく幼稚園・保育園の運動会や、自治会の運動会など、
スポーツをしなくなった年齢の親御さんが、急に走ると「転倒」してケガをする、という話や体験をされたことがあると思います。
なぜなんだろうか?考えてみたことはありますか。
以前私の考えていた原因は、自分の意志が先走る、
というか、若かりし頃このくらい足が前に出ていたから、同じように足が前に出る、と無意識に思い、つまづき転倒する、
でした。
でも、それもなぜなんだろうと考えることがありました。
そして、最近の施術に関する考え方が少しづつ変わっていることで、
今のところの私の考えができました。
実際に経過観察など、研究機関や医療機関などで調査観察を行っているわけではないので、私独自の考えなのでご了承くださいね。
私たちの体には、筋肉があります。
筋肉は、運動を「する」「しない」に関係なく働いていて、酸素とエネルギーを取り入れて、燃焼し二酸化炭素と疲労物質を作ります。二酸化炭素や疲労物質は毛細管に一度に取り込める量が決まっていて、対応できない量ができてしまうと、筋肉内に溜まってしまいます。
筋肉内に疲労物質がたまってしまうと、除去できないまま生活することが増えてきてしまいます。入院のように絶対安静が取れれば違うのでしょうが・・・。一度溜まってしまいますと、普段通りに体を維持する生活が当たり前のように行われるので、加速して疲労物質がたまってしまいます。
筋肉は様々な形や大きさをしたものが体の中にあります、それらが上手に連携して、大きな体を動かしています。筋肉は筋線維の束です。筋線維は一つ一つの筋肉によって性質を変えているわけではありません、つまり、筋線維の束の多い筋肉と、少ない筋肉が体の中に複数存在します。
小さな筋肉は、大きな筋肉に比べ疲労物質の許容量が小さいため、機能低下を起こしてしまいます。
機能低下が起きた筋肉が普段通り体を支えようとすると、働ける量の減少した筋肉が体を支える働きに重要度をおくため、こわばってしまいます。
このことを踏まえて、骨盤周り、股関節周り、背骨を支える椎骨周囲の筋肉が、特に小さな筋肉がこわばっていることで、足が前に出せなくてつまづく、という現象が起こると思っています。
私たちの歩き始めは、足を前に出すのではないのです。
体幹の傾きに合わせて、足が前に出ます。
膝をあげる、モモをあげるがつまずく歩き方のポイントです。
加えて、踵から着くもつまずく歩き方のポイントです。
足ってとっても重いんです。つまり足を上げようとすると余計にバランスを崩します。しかし、体が前に傾き始めたときに転倒しないように、勝手に足が前に出ることは、足の重さを感じません。この時、体を転倒させないように体のあらゆる感覚器官が情報検知して、より良い位置に足を前に送ったり踏ん張れるところに、足を置き、体重をかけバランスをとります。
いろいろと疲労が積み重なった体は、不安定になっています。
そのため、昔は立位体前屈が指までついたのに、今現在は足首にも届かない、という方が大勢います。これは現在の筋力、筋機能低下により体を支えるのが不安定と判断するため、「からだ」を倒れさせまいとする無意識が、筋肉をこわばらせ、骨盤が前に傾くことができずに、意識的に前に倒れようとしたときに手だけが前に行こうとするので、手は下に伸びているけど、床まで指先が届かなくなった、という現象が出てしまいます。
そのような体が「からだ」を傾けようとしたときに、骨盤周りでストッパーがかかり、上半身をだけが前に傾こうとして、それに対応するために足を前に出そうと働きかけるのと、意識的に足を、モモを前に出さなければと考え、働きかけるのでよりバランスを崩し、下半身にストッパーが強く働き、もつれて転倒すると、私は考えています。
このとき少しでも体が柔軟に反応できれば前に転がったりでき、力を分散できてケガを大きくしないで済むのですが、足を支点に転倒するようになってしまい全体重が手や肩にかかるため、肩鎖関節の亜脱臼や、手首の骨折を起こすことが増えると考えています。
予防策は日々の柔軟と、歩きだす時、胸から前にだけを意識して、あまり大股にならないように、できる限り今までよりも歩幅は狭めて歩きましょう。
走る時も同様です、自然と体幹が前に出るようになり、足も前に出ているはずですから。一時話題に上がったナンバ走り、あれは武道の裁きのように、でしたが、武道も体幹から動かすはずです。私は柔道しかやっていませんが、投げの型の時、受け手の裁きは、タイミングよく自分も跳ぶ、投げ手に合わせて身を任せ、その傾いた体幹に合わせて畳から足を浮かせることで、綺麗な投げの型が成立していました。